2010年に電子書籍元年と騒がれてから、一年後の2011年に私は起業しました。それまで行っていたすべての事業をやめて、電子書籍一本で勝負に出ました。しかも、最初から多額のコストを掛けてソフトウェア開発、ポータルサイト開発を行いました。
当時は、電子書籍と言ってもメディアで騒がれているぐらいで、実際に使っている人はほとんどいませんでした。傍から見たら、私の行動は無謀な賭けに見えたと思います。そこまでしても起業したかったのは、EPUBというフォーマットに出逢ったからです。
すべてをEPUBから発想
私は、2010年の時点から「数年以内に電子書籍は普及する」と確信していました。そして、その未来は「EPUB(イーパブ)」を主体したものだと信じていました。起業後も「EPUB」からすべての事業、戦略を発想していきました(いつか公開したいのですが『恋するEPUB』という詩集を書いたのも、それほどEPUBに惚れていたからです)。
これほどまでに惚れ込んだのは、EPUBはインターネット黎明期の「HTML」に相当するものだと考えたからです。HTMLの誕生によって、「ホームページ(WEBサイト)」という革新的な仕組みが生まれました。そして、そこに付随するあらゆるビジネスが花開きました。電子書籍界におけるHTMLは、間違いなくEPUBだと思ったのです。
スマホ+EPUB
時を同じくしてスマートフォンやタブレットPCが普及し始めました。EPUBはもともと、スマホ等の小さな画面でも快適に読めるように策定された側面もあります。その上、世界共通のオープンフォーマットであり、日本独自の「縦書き」にも対応しました。この時点で、私の電子書籍に対する可能性は、確信に変わりました。
「スマホ+EPUB」こそ、電子書籍ブレイクの鍵だと思いました。しかし、それほど甘くはありませんでした。時は、2011年。そもそもスマホを持っている人が少なく、今では信じられませんが「ガラケーが好きな人が多いから、スマホはそれほど流行らない」という意見もちらほら出ていました。
先に電子書籍ビジネスのモデルを考える
そんな状況で私が考えたのは次の2点でした。
1.EPUBを普及させる活動
2.電子書籍に関連するビジネスモデルを考案し試す
この2つを続けていけばスマホが数千万台に達した時、すぐに様々な展開につなげられると考えました。この視点を持っていたから、進むことができました。その後のことは、また書いていきたいと思います。
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