電子書籍広告論Vol.1

adimage

2016.08.19追記
本記事で提唱させて頂いた「インディーズ作家向け電子書籍広告」を、カナダの企業が遂に開始しました。詳細は以下の記事でご確認頂けます。

■世界最大の電子書籍コミュニティサイト「Wattpad」、作品中でのビデオ広告挿入サービスを開始、月20万円稼ぐ作家も
https://hon.jp/news/1.0/0/9360

今回は「広告ビジネスとしての電子書籍」というテーマで書きます。「広告」というビジネスモデルは、資本主義が続く限り決してなくなりません。電柱でも人の家の屋根でも時には石ころでさえも、多くの人がそれを目にするのであれば「広告枠」=「お金」になります。

インターネットにおいても、Googleの主な収益源がそうであるように広告モデルをより強力に活かすことができます。

そして私は、電子書籍ビジネスにおいても、広告は無視できないものとなると考えています。インディーズ作家目線で考えても、電子書籍広告ビジネスは「印税生活」を実現する手段になると思います。

私は広告の仕組みに興味を持ち、一時期広告代理店で働いていました。そして、電子書籍ビジネスに「広告ビジネス」の視点を導入することは可能だし、むしろ必須であると結論が出ました。

現時点で、電子書籍広告はほとんど見かけませんが、将来的に電子書籍のマネタイズ(収益化)方法して確立されると考えています。

本来であれば、私がその流れを確立すべくチャレンジしたいのですが、様々な諸事情によりしばらくできそうにありません。そこで先に『電子書籍広告論』として、考え方や方法をまとめてみたいと思います。

広告の仕組み

広告ビジネスの仕組みはシンプルです。お客さんが多く集まる場所に、お金を払ってサービス紹介を掲載する。たった、これだけです。シンプルゆえに揺らぐことなく、様々な応用が利きます。

また、広告業界には、広告枠を販売する「広告代理店」の存在があります。自分が媒体を持っていなくても、販売代理や取り次ぎ販売を行うことで、マージン(手数料)を貰うことが可能となります。

インターネット広告の種類

では、インターネット広告にはどんな種類があるでしょう? 主なものを取り上げてみます。

【インターネット広告の種類】

  1. リスティング広告(コンテンツマッチ・インタレストマッチ)
  2. メルマガ広告
  3. アフィリエイト
  4. バナー広告
  5. 動画広告
  6. タイアップ広告
  7. アド・ネットワーク

すでにご存知の内容も多いと思いますが、確認の意味で一緒に振り返ってみましょう。

1.リスティング広告(コンテンツマッチ・インタレストマッチ)

リスティング広告は、GoogleやYahoo!で検索した時に表示される広告です。コンテンツマッチ広告は、ブログやホームページなど関連性が高いページに表示される広告です。

2.メルマガ広告

メルマガ内に掲載される広告です。以前はテキスト広告がメインでしたが、最近はHTMLメールの増加に伴い画像掲載も可能になってきました。メルマガの発行部数が大きくなると、メルマガそのものが広告媒体になります。

3.アフィリエイト

成果報酬型の広告手法です。商品紹介をして、紹介者経由で売れた時のみ紹介者に報酬が発生します。

4.バナー広告

バナー広告は特定の企業がその枠を買い取って出稿するものを指します。看板と同じ発想です。

5.動画広告

YouTube動画を再生すると出てくる広告です。Youtuberの台頭により、注目されているモデルです。

6.タイアップ広告

サイトやサービスとタイアップして、特定の商品をプロモーションする広告です。

7.アド・ネットワーク

広告媒体(WEBサイト)を集めて「広告配信ネットワーク」を形成し、広告を配信するタイプの広告です。スマートフォンアプリ向けの広告にも多く見られます。

広告・広告代理ビジネスのメリット

ご覧頂いたようなインターネット広告ビジネスには、下記の様なメリットがあります。

1.利益率が高い

利益率の高さは大きなメリットです。「最大利益率70%~80%」と、非常に高い利益率を実現できる可能性があります。

2.手間が掛からない

例えば、メルマガ広告であれば、クライアント(広告出稿者)から提供された文章をメルマガ配信するだけです。シンプルな作業なので、アルバイトや外部に任せることも容易です。

3.リスクがほぼゼロ

始めるにあたって仕入れや外注がほとんど必要ありません。チャンスがあるにも関わらず、ほぼノーリスクです。

以上の理由から、まさにインターネットの利点をフル活用できる手法と言えます。

インターネット広告の市場規模

次に、インターネット広告の市場規模を確認します。少し前のデータですが、電通が出しているニュースリリースから、インターネット関連の広告費を見てみましょう。

インターネット広告費は、8,062億円(前年比104.1%)。
媒体費は6,189億円(前年比101.8%)、インターネット制作費は1,873億円(前年比112.2%)。

※各数値はhttp://www.dentsu.co.jp/news/release/2012/pdf/2012017-0223.pdfより引用

ネット広告市場は、着実に拡大していることが分かります。広告媒体の観点から見ても、制作の観点から見ても、大きなチャンスがありそうです。

併せて、2011年度発行のリリースにはほとんど記載されていなかった、スマートフォンやタブレットPCが突如登場し「337億円」の広告費が動いています。このデータから3年経った2015年現在、スマートフォン周りを無視することは絶対にできません。

電子書籍における広告ビジネス

それでは、電子書籍ビジネスにおける「広告ビジネス」について見て行きましょう。結論から言えば、電子書籍広告の基本は「メルマガ広告」と「アプリ広告」が近い形態になります。

既存メディアも含めれば、「雑誌広告」+「メルマガ広告&アプリ広告」=「電子書籍広告」と考えると分かりやすいかと思います。

電子書籍広告の強みは、精読率が非常に高いこと、顧客属性を絞りやすいことです。すべての読者は、電子書籍を読むためにダウンロードし、読まないという選択肢はありません。また、書籍というメディアは必ず何らかのジャンルに特化した内容なので、顧客属性が明確になります。

具体的な種類

次に、電子書籍広告の具体的な種類について見て行きましょう。電子出版広告の種類は、下記が考えられます。

【電子出版広告の種類】

  1. 電子書籍内に広告媒体を作る
  2. アフィリエイトを取り入れた書籍を作る
  3. スマートフォンアプリ向け広告(将来の対応を期待)

それぞれを、詳しく見ていきましょう。

1.電子書籍内に広告媒体を作る

電子書籍内に広告媒体を作るパターンです。イメージ的には雑誌広告が最も近いです。広告媒体の視点から考えると、無料電子書籍の活用方法にも応用が利きます。出稿方法としては以下の3つが考えられます。

1-1.バナー広告

クライアント(広告出稿者)から提供されたバナー(画像)を、書籍内に貼り付ける広告枠です。最もシンプルな出稿形態です。

1-2.記事風広告

メインコンテンツと似た記事風の形式で、サービスプロモーションをする形式です。

1-3.タイアップ広告

電子書籍のテーマと、告知するサービス・商品に何らかの関連性がある場合、タイアップ広告としてキャンペーン的見せ方が可能です。例えば、あなたが『もっと自分を綺麗に魅せる!化粧テクニック』という電子書籍を出していたなら、化粧品メーカーや美容系のノウハウを出している人とタイアップすることが出来ます。この辺りは女性雑誌が特に上手く行っていますので参考になります。

2.アフィリエイトを取り入れた書籍を作る

アフィリエイトサイトの方法論を、取り入れたパターンです。電子書籍内にはアフィリエイトリンクが入れられます。アフィリエイトを入れた電子書籍を作ることで、読者数が少なくても広告展開が可能となります。

ただし、PDF時代に氾濫していたような「アフィリエイトオンリー」の中身の無い書籍を作っても効果は全く出ないと思います。ひと手間掛かりますが、しっかりした内容の書籍を継続的に出していけばファン読者も付きますし、アフィリエイトではない直接のクライアントも獲得できる可能性が高まります。

3.スマートフォンアプリ向け広告(将来の対応を期待)

スマートフォンアプリには、アプリ向け広告という非常に収益化しやすい仕組みがあります。これはアプリ内にコードを追加するだけで、収益化を図れる魅力的な広告媒体です。

現在の所、残念ながら電子書籍には対応していませんが、将来的に「電子書籍向け広告」が同様の仕組みが登場すれば、電子書籍によるマネタイズはより進化すると思います。

電子書籍広告ビジネスの構築方法

次に、電子書籍広告ビジネスの構築方法についてお話しします。現時点で闇雲に、「電子書籍内の広告枠販売を始めました!」と告知しても、なかなか広告主は見つからないでしょう。

しかし私は、手順を可視化し準備を行うことで、ビジネスとして成り立つようになると考えています。それを可能にする具体的な考え方・手法については、次の記事で公開させて頂きます。

続編『電子書籍広告論Vol.2』はコチラ