2010年から私は、電子書籍系スタートアップとして色々なことを行ってきました。実際にやってみて思いましたが、この市場はかなり難しいです。新しいように見えて実は伝統ある市場で、顧客層もなかなか掴みづらい点があります。ユーザー数が数千万人いるアプリ市場に比べれば、地味な印象を受けることもあります。
ただ、4年経った今では個人作家は間違いなく増えており、アプローチ次第ではビジネスとしても十分に成り立つと思います。
超シンプルに電子書籍を出版!
そんな中、個人的に注目しているサービスがあります。2014年1月にサイバーエージェントから出資をされた、電子書籍系スタートアップWoody(ウッディ)というサービスです。
■関連ニュース
サイバーエージェント 投資事業本部よりWoodyへの出資を実施
■WOODY
http://www.thewoody.jp/
追記(2015年2月12日)
Woodyは「電子書籍事業より完全に撤退」とのこと。
http://ameblo.jp/thewoody-jp/entry-11984745645.html
WOODYは、超簡単・超シンプルに電子書籍を出版できるサービスです。「アメブロの電子書籍版」と言っても良いと思います。ビジネスモデル等については触れませんが、私はWOODYの目指すゴールは良く理解できます。プレスリリース等から考えると、彼らの目指しているのは、「一般層を電子書籍市場へ参加させること」だと思います。
これが実現すると、ケータイ小説が進化した「スマホ小説」や「スマホ写真集」といったトレンドが生まれる可能性があります。そしてこれは、サイバーエージェント系の企業だからこそできると思います。
例えば、WOODYに投稿された魅力的な小説を映画化(ドラマ化)したり、ニュース系キュレーションサイトと連動されるかもしれません。
Amazon一極支配に思うこと
Amazonの提供するKDPは、基本的には素晴らしいサービスだと思います。現時点では、インディーズ作家にとってKindleがベストな選択肢であることは間違いありません。
ただ、私は一度も「KDP=電子出版」とは考えたことはありません。KDPは、あくまで電子出版における一つの通過点です。そして、忘れてはいけないのが、Amazon=「顧客至上主義」、KDP作家=「販売者側(顧客側ではない)」ということです。いつ、どのような規約・システムの変更をされても文句を言えません。現にAmazonは発言力を増しており、特に海外では問題も起き始めています。
■ニュース検索「amazon 出版社」
http://goo.gl/GcQYgO
今後、Amazon一極支配になった時、どんなことが起きるのか?想像しておくことはできます。これは、SEO対策と似たリスクです。検索エンジンの検索結果がGoogleの意向で180度変わった時に、SEO関連の事業者は大きな影響をうけます。このリスクを分かったうえで、電子出版を進めることが大切です。
だからこそ、私は一貫してEPUBというファイルフォーマットを推していますし、EPUBからすべてを発想すれば上記のリスクはほぼ無くなります。万が一、KDPを使わなくなっても、すぐ他のプラットフォームに転用、もしくは「EPUB」や「mobi」ファイルを直売することも可能です。
そして、最終的には「電子書籍の直売」こそ、インディーズ作家のベストな収益化方法だと考えます(Amazonを批判しているのではなく、私たち「インディーズ作家」にとってのリスクを内包しているということです)。
「オンラインサロン」という着地点
Synapse(シナプス)というサービスがあります。
■シナプス
http://synapse.am/
「オンラインサロン」というコンセプトで運営しています。オンラインサロンは、フェイスブックの非公開コミュニティを使い、サロン運営者+参加者で交流を行います。参加者は毎月「サロン参加代」を払い、そこがサロン運営者と企業側の収益になります。
このサロンですが、2014年7月頃にホリエモン(堀江貴文さん)が参加、一気に知名度・利用者がアップしました。さらに、ホリエモン効果で、経沢香保子さんもサロン開設しています(ちなみにホリエモンのサロンは、月額1万800円で600名近い参加者)。
このサロンは、電子書籍の着地点としてもかなりの可能性があると見ています。電子書籍では、熱いファンを作ることができます。そして、一部のファンは、お金を払ってでも、著者と知り合いたい、交流したいと思います。これは自然なファン心理です。
ビジネス活用はもちろんですが、作家、ライター、クリエイターの方も活用できる仕組みです。すでにファンを抱えている方は、開設してみても面白いのではないでしょうか。
電子書籍が活動のキモになる
今後、電子書籍は単なるツールではなく、すべての「活動のキモ」になると考えています。ITインフラが整い、「相手を知りたいならホームページを見ろ」と言われました。SNSが登場し、「相手を知りたいならフェイスブックを見ろ」と言われました。そして、電子書籍が登場したことにより、「相手を知りたいなら電子書籍を読め」という世界がすぐそこまで来ています。
そんな時、電子書籍を出版していないことは、ホームページを持っていないことと同じです。それだけに留まりません。電子書籍は、名刺の役割を果たしつつも、実はファンをつくる強力な方法です。これは驚くべき可能性です。
まとめ
電子書籍市場には、正しい答えなどありません。本当の意味で自由です。人から指図されることもありません。変な意見を押し付けられることも皆無です。すべてを自分で選ぶことができます。だから楽しいし、ワクワクします。
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