ベストセラービジネス書『フリー』(クリス・アンダーソン)を参考に、実践的に活用できる電子出版フリー戦略を書いてみます。
Amazon Kindleで出版されている方にも、無料配布を活用している方を多く見掛けます。私も色々な書籍をダウンロードさせて頂いておりますが、同時に「もっと戦略的に行えば、より効果が出そう」と思うことがあります。
無料で配布したのであれば、何らかの対価を得るべきです。それが価値の等価交換であり、健全な電子出版ビジネスだと思います。
フリーを利用した電子出版ビジネスアイディア
本記事は『フリー~<無料>からお金を生み出す新戦略』(クリス・アンダーソン著/2009年/日本放送出版協会)の巻末付録③(332頁~335頁)を元に、電子出版に特化した形でアレンジしました。考えられるビジネスモデルは以下の12個があります。
■電子出版フリー戦略
- 電子書籍は無料、サービスは有料
- 1冊買うと、もう1冊が無料
- 無料購読期間
- 電子書籍は無料、読者が商品を買うと紹介料が入る
- 電子書籍は無料で、モノを売る
- 電子書籍は無料、広告主から掲載料を取る
- メルマガは無料、電子書籍は有料
- 一般的なノウハウ電子書籍は無料、個別アドバイスは有料
- 電子書籍は無料、印刷したものは有料
- プレビュー版は無料、完全版は有料
- 広告付き書籍は無料、広告無しの書籍は有料
- 概要・目次は無料、完全版は有料
一部KDPでは規約的に使えない方法もありますが、必ずあなたのお役に立つ方法があるはずです。それではひとつずつを見て行きましょう。ぜひ、あなたの電子書籍に当てはめながら読んでみてください。
01.電子書籍は無料、サービスは有料
何らかの後続サービスのフロント書籍として、電子書籍を活用するパターンです。あなたがビジネスを行っていて、事前にお客さんに「知っていて欲しい情報」がある場合に有効です。
例えば、料理教室、英会話教室、飲食店、美容室、リフォーム等での活用が考えられます。電子書籍という見せ方をすることによって、単なるパンフレットではなく、あなたはお客様に対して専門家のポジションを取ることができます。
02.1冊買うと、もう1冊が無料
要は「半額」のことですが電子書籍のようなデジタルコンテンツの場合、原価がほぼゼロなのでお得感を出したうえで利益率を高められます。
03.無料購読期間
月額課金の初月を無料にする方法です。雑誌でもよく使われている手法です。
04.電子書籍は無料、読者が商品を買うと紹介料が入る
アフィリエイトリンクを組み込んだ書籍形式です。これはブログで良く取り入れられている方法ですが、有益な記事を書いてアクセスを集め、そこに貼ってあるアフィリエイトリンクから商品を買って頂く、という導線です。
05.電子書籍は無料で、モノを売る
物販を行っている方であっても、電子書籍は有効に活用できます。
電子書籍で、製品の特長やメリットを詳細に伝え、自身が運営するECサイトに誘導するアイディアが考えられます。
私はこれをEPUB Commerce(イーパブコマース)と呼んでいます。
06.電子書籍は無料、広告主から掲載料を取る
無料電子書籍を配信し、読者数を増やしていきます。すると、その電子書籍自体が広告媒体へとなります。
この考え方は『電子書籍広告論』に記載しました。
07.メルマガは無料、電子書籍は有料
メルマガを配信してきた方は、メルマガを再編集し販売することができます。もしくは、これから始める場合でも、将来的に有料電子書籍化を想定して記事を書いていくと、効率的に行えます。
08.一般的なノウハウ電子書籍は無料、個別アドバイスは有料
士業、コンサルティング業にとっても、電子書籍は非常に有効です。特に、一般人にとって「難しい」と認識される分野で強い効力を発揮します。
例えば弁護士の先生であれば、『生活の困りごと解決!法律ブック』という一般的なノウハウ電子書籍を無料で配信し、個別アドバイスや顧問契約は有料というパターンが考えられます。
09.電子書籍は無料、印刷したものは有料
電子書籍を無料で配信し、印刷版を有料で販売するパターンも有り得ます。これはすでにインプレスR&Dさんが『オンデッキ』で始めています。インプレスさんは、EPUB電子書籍版を無料にし、同時にプリントオンデマンドでも発売しています。この手法は、色々な応用が考えられます。
10.プレビュー版は無料、完全版は有料
完全版の第一章のみを無料で配信する、と言ったパターンです。この方法のメリットは、手間がほぼ掛からないことです。そして無料版で、見込み客となる読者を集客できます。
11.広告付き書籍は無料、広告無しの書籍は有料
ゲームやアプリで良く見かけるパターンです。無料版には広告が入っていますが、有料版を買えば広告が外れる電子書籍です。現時点では、システム的に課題がありますが、実現すれば「広告出稿主からの収益」「販売による収益」を同時に達成できるうえ、読者リストも取れるという一石三鳥のメリットが生じます。
12.概要・目次は無料、完全版は有料
先ほどの「プレビュー版は無料」にも近いものがありますが、書籍の概要や目次だけを公開するパターンです。先に全体像を伝えておきたい内容の書籍の場合、特に有効に使えます。
まとめ
以上、全12個のフリービジネスモデルをご紹介しました。電子出版に活用できるアイディアですので、ぜひご参考にして頂ければ幸いです。
フリー戦略は、市場の大小に関わらず一定の効果が上がります。このような考え方に基づいて電子出版を行っている人はあまりいないので、戦略的に行えばチャンスが掴めると思います。ぜひ行動に移してみてください!
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