電子書籍で億万長者は誕生するか?

電子出版戦略論
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 昔から出版には夢がありました。ベストセラーで家を建てた作家、本がキッカケで日本中に名が売れた教授、ケータイ小説から紙出版につながりミリオンセラーになった作家等、多くの成功者が誕生しました。

 では、電子書籍においても、同じような成功者は誕生するのでしょうか。

 実は、登場しません。

 電子書籍の可能性を、否定しているわけではありません。紙書籍と同じケースの成功者は誕生しようがない、ということです。その理由をお伝えします。

紙書籍と電子書籍はまったくの別物

 2010年の“電子書籍元年”から今に至るまで、多くの人が次のように考えています。

 「電子書籍は紙書籍の延長で、紙書籍のようでなくてはならない」

 もちろん、その要素もありますが、このままでは本質が見えてきません。双方のビジネスモデルから考えると、紙書籍と電子書籍はまったくの別物です。

 紙面の都合で簡単に書きますが、紙出版の場合は書籍を印刷した時点でお金が発生します。電子書籍は、書店(Amazon等のプラットフォーム)で売れるまでお金は1円も発生しません。

 電子書籍は「デジタルコンテンツビジネス」です。アプリ、動画、音楽、情報等のダウンロード販売と何ら変わりません。出版社を介さないインディーズ作家にとって、それはさらに顕著になります。

 ですので、紙出版のノリで電子書籍を始めると、ビジネスモデルの違いに戸惑うことになります。もっとハッキリ言えば、(紙出版のようには)お金が儲からないのです。

 その結果に愕然とした人たちが、「電子書籍は儲からない」と言う結論を出します。

電子書籍は本当に儲からないのか?

 では、電子書籍は本当に儲からないのでしょうか?純粋な可能性として、考えていきましょう(ちなみに私は、電子書籍至上主義ではないし、無駄に煽ることもしません)。

 電子書籍だけで成功した事例を探すと、海外にはちらほら見かけます。例えば、インディーズ作家として世界で初めて100万部の電子書籍を販売したジョン・ロック氏がいます。

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 彼は電子書籍の価格を100円にしました。そして、シリーズ続編を250円程度で売っています。

 全冊100円で売った場合で、
 100円 × 1,000,000冊 × 35%(Amazon印税率) = 3,500万円(利益)

 250円の書籍も売っているので、おそらく6,000万円程度の利益を得てると推測できます。

 ジョン氏の場合は半分趣味で書いているので悪くない数字ですが、世界一で6,000万円だとすると寂しい気もします。しかし、ここから「デジタルコンテンツビジネス」の面白さが出てきます。その本質については、本誌で引き続き書いていきます。

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