エストリビューターサービス実施において、別途契約書を結んでいない場合の「サービス定義」並びに「契約内容」は以下の通りとさせていただきます。
電子書籍制作業務委託契約書
(エストリビューターサービス)
クライアント様(以下,「甲」という。)と,一般社団法人日本電子出版作家協会(以下,「乙」という。)とは,電子書籍制作業務の委託に関し,次の通り契約する。
第1条 契約の目的
甲は,電子書籍の開発業務(以下,「本件業務」という。)を乙に委託し,乙はこれを受託する。
2.甲は乙に対し本件業務委託の対価として,委託料を本契約に定める条件に従って支払うものとする。
第2条 定義
本契約において使用する次の各号に掲げる用語の意義は,該当各号に定めるところによるものとする。
(1)本件業務とは,本契約に基づく見積書もしくは請求書に記載された業務とする。
(2)成果物とは,本契約に基づき作成され,乙が甲に納入するものの全てを指す。
(3)関連資料とは,本件業務の遂行の過程で,甲が乙に提供する資料を指す。
(4)電子書籍とは,本件業務に基づき制作された成果物としてのデジタルデータファイル(EPUBファイル形式を含むがこれに限定されない)とする。
(5)出版仕様とは,本件業務の契約時に,甲と乙の間で取り決めた電子書籍の製作範囲,内容,原稿分量,方針を指す。
(6)作業範囲とは,原則として,電子書籍を出版までの計画立案支援(戦略,マーケティングの助言を含む),完成原稿に対する,編集,校正,製本作業,プラットフォーム登録における助言もしくは代行作業とする。
(7)完全原稿とは,甲が執筆する原稿で,適切な構成,内容を有したデジタルデータ(doc,docx,txt形式)による原稿とする。
(8)前項について,本契約における完全原稿の原稿分量はおおよそ2万文字~4万文字とする。
(9)最終原稿とは,甲から送付された完全原稿をもとに,乙が編集及び校正を行い,以後,修正,変更の無い状態かつ,デジタルデータ(doc,docx,txt形式)による原稿状態とする。
(10)編集とは,乙が,最終原稿に対し電子書籍にとって適切な状態に形を整える作業とする。
(11)校正とは,乙が,最終原稿に対し誤字や脱字を修正する作業とする。
(12)製本とは,最終原稿をもとに,電子書籍(EPUBファイル形式)を制作する作業とする。
(13)プラットフォームとは,電子書籍が完成した後に登録するAmazon Kindle(KDP)を含む,但しこれに限定されない電子書籍販売プラットフォームとする。
第3条 成果物の納入
乙は甲に,成果物が完成次第,電子メールにて納入することとする。納入期限は,甲の完全原稿執筆の期間,乙の編集,校正,製本の期間を予め想定し,両者の協議のもと別途定めるものとする。具体的な納入期限は,本契約締結後14日以内に電子メールで合意するものとする。但し,次の各号に該当する場合には,乙は甲に対し成果物の納入を行わなくて良いものとする。
(1)甲からの完全原稿送付が契約より一年以上無く,甲に連絡が取れないとき。
(2)甲により,本件業務がキャンセルされたとき。
(3)甲から提供される完全原稿が,契約時点の条件及び内容と著しく違うとき。
(4)甲から提供される完全原稿が,明らかに原稿の体を成していないとき。
2.納入期限までに成果物の納入が困難となった場合,乙は速やかに甲に通知し,両者協議の上,新たな納入期限を定めるものとする。
第4条 委託料及び支払方法
1.甲は乙に対して,本件業務の対価として委託料を支払うものとし,その金額は,乙が甲に別途提出した見積書に記載された金額とする。
2.支払い方法は,銀行振込またはクレジットカード払いとする。
3.支払い時期は,本契約締結時に委託料の100%とする。乙は支払いが完了するまで本件業務に関するあらゆる事前準備を行わないものとする。
4.甲は本契約締結後,如何なる事由においても本案件の委託を中止する場合には,前項で定めた委託料を全額支払うものとする。
5.甲による委託料支払い後の返金は,原則として行わないものとする。ただし,本件業務の不履行または著しい遅滞が乙の責に帰すべき事由による場合は,以下の通り返金を行うものとする。
(1)乙の責に帰すべき事由により本件業務が全く履行されなかった場合,乙は受領した委託料の全額を甲に返金する。
(2)乙の責に帰すべき事由により本件業務の一部が履行されなかった場合,または著しい遅滞が生じた場合,甲乙協議の上,適切な返金額を決定する。
(3)返金手続きは,甲からの書面による請求を受けてから30日以内に行うものとする。
6.前項の返金に関して甲乙間で争いが生じた場合は,第21条(信義則)に基づき,誠実に協議して解決を図るものとする。
第5条 委託料の変更
前条第4条に基づく委託料の金額に関しては,本条各号のいずれかに該当する場合,乙は,該当日から7日以内に,甲に再度見積書を提出することにより,甲に対して委託料の追加請求することができるものとする。
(1)甲に起因する原因により,甲が出版仕様を変更するとき。
(2)甲が作業範囲の拡大を希望する場合。
第6条 原稿のやりとり
甲乙間でやりとりされる完全原稿及び最終原稿は,双方が責任を持って管理,保持し,第三者には公開しないものとする。
2.原稿は,原則としてデジタルデータ(doc,docx,txt形式)とするが,やむを得ない場合は紙の形式による原稿送付を許可する。
3.前項において,文字起こし並びに誤字,脱字をデジタルデータに反映は作業を依頼する場合には,乙は甲に対し別途見積もりを送付し,了承の上,支払いがあった後に反映作業を行う。
4.甲が乙に提供した紙原稿は,本件業務終了後,乙が速やかに破棄するものとし,紙原稿の返却は原則として受け付けない。
第7条 関連資料の取り扱い
1.乙は,甲から提供された本件業務にかかる原始資料その他の資料等(以下,「関連資料」という。)について,本件業務が終了した後,30日以内に,以下のいずれかの措置を講じるものとする。
(1)甲に返却する。
(2)甲の書面による同意を得た上で,乙が保管する。
(3)甲の書面による同意を得た上で,適切な方法で廃棄または削除する。
2.前項において,関連資料がデジタルデータの場合,乙は以下のいずれかの措置を講じるものとする。
(1)甲に当該データを送付する。
(2)甲の書面による同意を得た上で,乙が保管する。
(3)甲の書面による同意を得た上で,当該データを削除する。
3.乙が関連資料を保管する場合,乙は当該資料の機密性を保持し,本契約の目的以外に使用しないものとする。
4.本条に定める関連資料の取り扱いについて,甲乙間で別途合意がある場合は,その合意に従うものとする。
第8条 制作場所
乙は,本件業務を遂行するときは,乙の事業所内で行うものとする。
第9条 指揮命令系統
乙が本件業務を遂行するにあたって,本件業務に従事する乙の従事者に対する指示を含めた一切の指揮命令は,乙が乙の責任の下で行うものとし,労務管理,安全衛生管理に関するものについてはこれを含むものとする。
第10条 連絡担当者
甲及び乙は,本件業務を円滑に遂行するため,それぞれ本件業務の連絡担当者を定め,相手方に通知するものとし,本件業務遂行のための連絡,確認等は,原則として連絡担当者を通じて行うものとする。
第11条 乙の秘密情報の保持
乙は甲から秘密と指定された事項および本契約の履行に関し知り得た甲の秘密情報を第三者に漏らしてはならない。
2.乙は本件業務を遂行する乙の従業員,その他の者と前項の事務を遵守させるための秘密保持契約を締結するなどの必要な措置を講ずるものとする。
3.本条の規定は,本契約の有効期間は勿論,本契約終了後も有効に存続することとする。
第12条 甲の秘密情報の保持
甲は乙から,秘密と指定された事項及び本契約に関して知り得た電子書籍に関するノウハウ,制作物,資料,その他の乙の秘密を第三者に漏らしてはならない。
2.本条の規定は,本契約の有効期間は勿論,本契約終了後も有効に存続することとする。
第13条 保証及び責任範囲
乙は,甲が指定する出版仕様どおりの電子書籍が制作されていること,及び,乙が甲に納品する成果物には,不良品や瑕疵がないことを甲に保証し,この保証は成果物の納品日から60日間有効とする。
2.成果物に生じたシステム的な不具合が乙の起因する原因によるときは,乙は,前項に基づく保証期間中は電子書籍上の過誤の訂正・補修等を行うこととする。
第14条 免責
乙は納品した成果物の甲による運用において,甲または第三者に生じた損害について,その程度に関わらず一切の責任を負わないこととする。
第15条 販売責任
本件業務完了後,電子書籍の販売,管理,運用は甲の責任のもと行うものとする。また,甲は自己の責任と費用負担によって電子書籍の販売をするものとし,該当書籍を原因とする損害・損失・トラブルに対して,乙は如何なる責任も負わないものとする。
第16条 著作権の侵害等
甲は,乙に送付する完全原稿の内容について,如何なる部分も第三者の著作権やその他の権利を侵害していないことを乙に保証するものとする。
2.甲の出版した電子書籍により,第三者の著作権が侵害しているとして出版を差し止められた場合,又は,損害賠償を命じられた場合には,甲は,責任を持って対処するものとする。
3.乙は,成果物の如何なる部分も,第三者の著作権やその他の権利を侵害していないことを甲に保証するものとする。
第17条 保守サービス
1.本件業務完了後,甲が希望する場合に限り,甲および乙は,次の各号に掲げる保守等に関する契約を別途締結できるものとする。甲が保守サービスを希望しない場合,本条に基づく追加の契約締結は不要とする。
2.保守サービスには,以下の項目が含まれるが,これらに限定されない。
(1)保証期間経過後の電子書籍に関する技術サービス。
(2)納品した電子書籍の内容変更を行うための改変サービス。
(3)プラットフォーム管理などを代行する運用サービス。
3.保守サービスに関する金額は,乙が甲に別途提出する見積書に記載された金額とする。
4.保守サービス契約の締結を希望する場合,甲は乙に対して書面にてその旨を通知するものとし,両者協議の上,別途契約を締結するものとする。
5.本条に定める保守サービスの内容および条件について,甲乙間で別途合意がある場合は,その合意に従うものとする。
第18条 知的財産権の帰属
1.本契約に基づく成果物に含まれる内容に関する著作権は,全て甲に帰属するものとする。
2.本契約に基づく成果物に含まれるデザインに関する著作権の帰属は,以下の通りとする:
(1)甲が提供したデザイン,または甲の指示に基づいて乙が作成したデザインの著作権は,甲に帰属する。
(2)乙が独自に作成し,本成果物に使用されたデザインの著作権は,乙に帰属する。ただし,甲は本契約に基づく成果物の利用に必要な範囲内で,当該デザインを使用する非独占的な権利を有する。
3.本契約に基づき生じた発明,考案,意匠等の産業財産権(特許権,実用新案権,意匠権,商標権等を含むがこれらに限定されない)については,甲乙協議の上,その帰属を決定するものとする。
4.本条の規定に関わらず,甲乙間で個別に合意した場合は,その合意内容が優先されるものとする。
第19条 契約内容の変更
本件業務,その他本契約の内容は,如何なる場合も甲乙双方の記名捺印された書面によってのみ変更することとし,記名捺印の無い書面は無効とする。
第20条 契約の解除
次の各号に掲げる事由のいずれかが生じた場合には,乙は甲に何ら通告することなく,直ちに本契約を解除することができることとする。
(1)重大な過失または背信行為があったとき。
(2)支払の停止があったとき,又は仮差押,差押,競売,破産,民事再生,会社更生手続,会社整理,特別清算等の手続きの申立がなされたとき。
(3)手形交換所からの取引停止処分を受けたとき。
(4)公租公課の滞納処分を受けたとき。
第21条 信義則
甲及び乙は,本契約の内容に関して疑義が生じた場合,及び,本契約に定めのない事項に関しては,信義誠実の原則に従い協議の上これを定めるものとする。
第22条 不可抗力
天災地変,戦争,暴動,内乱,法令の改廃・制定,公権力による命令・処分,ストライキその他の労働争議,輸送機関の事故,その他不可抗力により,本契約の全部または一部の履行の遅延または不能が生じた場合には,甲乙ともにその責任を負わないものとする。
第23条 個人情報保護
甲及び乙は,本件業務の遂行にあたり取得した個人情報について,個人情報保護法その他の関連法令を遵守し,適切に取り扱うものとする。
2.甲及び乙は,個人情報の漏洩,滅失,毀損の防止その他の個人情報の安全管理のために必要かつ適切な措置を講じなければならない。
第24条 反社会的勢力の排除
甲及び乙は,自己または自己の役員が,暴力団,暴力団員,暴力団関係企業・団体またはその関係者,その他反社会的勢力(以下,総称して「反社会的勢力」という。)でないことを表明し,かつ将来にわたっても該当しないことを確約する。
2.甲または乙は,相手方が前項の規定に違反した場合は,何らの催告をすることなく,本契約を解除することができる。
第25条 契約期間
1.本契約の有効期間は,契約締結日から本件業務の対象となる電子書籍の出版が完了するまでとする。
2.前項における出版完了とは,乙が第3条に基づき成果物を甲に納入し,甲が検収を完了した時点をいう。
3.本件業務が複数の電子書籍の制作を含む場合,全ての電子書籍の出版が完了した時点で本契約は終了するものとする。
4.本契約の終了後も,第11条(乙の秘密情報の保持),第12条(甲の秘密情報の保持),第13条(保証及び責任範囲),第14条(免責),第15条(販売責任),第16条(著作権の侵害等),第18条(知的財産権の帰属)の規定は有効に存続するものとする。
5.本契約の終了時に未履行の債務がある場合は,当該債務については本契約終了後も有効に存続するものとする。
6.本条に定める契約期間について,甲乙間で別途書面による合意がある場合は,その合意に従うものとする。
第26条 管轄裁判所
本契約に関して生じた法律上の紛争については東京地方裁判所を第一審の管轄裁判所とする。
附則
1.本契約書は2014年10月1日に制定された。
2.本契約書は2024年10月1日に改定され,同日より効力を有する。
【書面またはPDFの契約締結の場合は以下の署名欄を追加いたします】
本契約の成立を証するため,本書2通を作成し,甲乙記名押印の上,各1通を保有する。
年 月 日
甲:
印
乙:一般社団法人日本電子出版作家協会
印
コメント