【注意!】電子書籍と情報商材

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 2011年頃、私は「電子書籍と、情報商材の相性は良いのではないか?」と考えていた時期がありました。

 理由はシンプルで、情報商材も「個人が扱えるデジタルコンテンツ」を軸としたビジネスモデルだったからです。お金の流れとしては、一切の違いがありません。

 しかも、情報商材業界は「マーケティング」に特化しており、電子書籍業界には「マーケティング視点」が足りなかったので「相性はピッタリなはず」という仮説を立てました。

 具体的に言うと「情報商材的なマーケティングを、電子書籍にも応用できないだろうか?」と思ったのです。

 尚、ここでの「情報商材的マーケティング」の定義は、短期的な売上を目的に、販売心理テクニックを使い、ド派手なプロモーションで商品を販売する手法のことです。

情報商材的マーケティング手法を推奨しない理由

 しかし、2012年に「ある出来事」があってから、私はその考え方を改めました。

 当時、運営していたポータルサイト関連の話で、大手IT系メディアの編集者とお会いしたのですが、私は上記の仮説をそれとなく話してみました。すると、思ってもみない回答があったのです。

 編集者の方がおっしゃったのは、「情報商材と認識されたら、大手メディアで取り上げられることは絶対に無い」と言う内容でした。

 この話を聞いてから、私は電子書籍を情報商材の観点から捉えることは一切やめました。

電子書籍の強みは「無限大の広がり」です

 情報商材ビジネスを否定している訳ではありません。中には有益な情報もありますし、(市場はレッドオーシャンとは言え)個人が参入できるビジネスモデルとして面白い面はあると思います。ただ、幾らビジネス的なスキームが似ていても、電子書籍と情報商材は別物と考えるべきです。

 その一番の理由は、電子書籍の強みに「無限大の広がり」があるからです。

 例えば、電子書籍がキッカケで…

  • 大手出版社からの出版が決まった
  • 業界No.1の雑誌に取り上げられた
  • テレビ出演が決まった

 と言った方々が多数存在します。

 電子出版というメディアを起点として、無限大の広がりが期待できるのです。

 しかし、情報商材として認識された瞬間に、他メディアに広がることは無くなりますので、上記のような可能性は全て断たれてしまいます。

中長期の視点から見る

 広がりが断たれることは、中長期の視点から見た時に絶対的なマイナスです。

 海外のKindleにも一部、情報商材的な電子書籍マーケティング手法を見掛けます。日本においても、市場拡大と共に同様の手法が出てくるかもしれません。

 しかし私は、本記事に記載した理由により、電子出版における「情報商材的なアプローチ」は決して推奨しません。

 今後、電子書籍は流行りを超えて「文化」になっていきます。

 だからこそ、短期で終わる一発屋的メディアではなく、3年~10年掛けて堅実に育てていく中長期的なメディアとして捉えるのが正しい視点であると確信しています。